家庭菜園で野菜を育てるポイント
プロの育てた有機野菜は、綺麗なのに、自分で育てた野菜は、形が悪かったり虫に食べられたりします。プロと素人の大きな違いは「土づくり」にあります。
「土づくり」とは、植物などを発酵させて作った堆肥などを畑に入れることで、野菜が育つのに最適な環境を作ることです。土づくりをしっかりすれば、野菜は害虫や病気に負けず元気に育ち、しかも美味しくなります。
土の改良を目的として、私はもみ殻を使っています。もみ殻は、害はなく、土に空気が含まれ、土に馴染んでいきます。
籾殻はなかなか腐らず、お米の油分などであまり土に良くないらしいので、人によっては、燃やして、炭にして畑に撒くようにしても良いでしょう。精米所に行けば無料で入手できるので、家庭菜園に利用出来ます。
堆肥は、落ち葉や木の枝など植物性のものと、牛の糞など動物性の物を混ぜて半年から1年以上かけて発酵させたものです。「土づくり」をすることで、おいしくて、健康な野菜を育てることが出来ています。
土づくりとは、山や林の環境を再現すること
「土づくり」をすると、年を追うごとに土がフカフカになり、土の色も黒っぽくなってきます。どうしてそうなるのでしょうか?
山や林の中でに行くと、地面が柔らかくなっているのを感じたことがあると思います。落ち葉をめくると、たくさんの虫やミミズがいて、土も黒っぽくなっています。山や林の中では、秋になると木からの落ち葉が地面に積もります。
地面に積もった落ち葉は、ミミズや小さな微生物によって、徐々に細かく分解されていきます。そして最後には土のようになります。それが、木が大きくなる際の栄養素になります。
また、山や林の土には、ミミズが地中を動いた際に出来た小さな空間が出来ています。そして、落ち葉の繊維質などが積み重なり、土はまるでスポンジのようになっています。植物が育つには、土の中に十分な空気が必要です。
ミミズや落ち葉によって作られた土の中に適度な空間が、空気を確保してくれるようになります。山や林の土は、ゆっくり時間をかけて環境を作り上げます。自然の循環サイクルです。
このような環境が出来ると、木は根っこを十分に伸ばせ、必要な栄養をしっかり吸収できるようになるのです。畑の野菜も同じように、微生物の力で分解した栄養素と、空気を確保するための適度な空間が必要です。
その様な環境を作ってやることで、野菜は元気に育ちます。
堆肥は山の土を再現したもの
山や林の環境を、畑で再現するために有機栽培では「堆肥」をよく使います。
有機栽培で使う堆肥は、山や林で落ち葉が微生物の力で土に戻っていく様子を再現した物です。
堆肥は発酵するために、微生物の力を借りています。そのため、堆肥の中には大量の微生物がいます。堆肥を畑の中に入れると、畑の中で微生物が増えていきます。そして、微生物は増えていく中で、細かい土どうしをくっつけていきます。
くっついた土は、さらに大きな塊になり、土の中に空間をつくります。そして、畑の土をフカフカにしていきます。これを「土の団粒化」といいます。団粒化した土は、野菜の根に適度な空気与えます。しかも、不要な水は地中に流してくれます。
通常、山の中では2、3年かけて落ち葉をゆっくり土に戻していきます。しかし、堆肥は人の知恵と微生物の力で、その時間を早送りしたものです。ですので、毎年畑に堆肥を入れることで、より早く畑を山の土のようにすることができます。
このような土になると、野菜は元気に育つようになります。
畑に堆肥を入れる
もし、畑の近くで堆肥が手に入るなら、野菜を育てる前に堆肥を入れましょう。目安は1平方メートルに2kgです。
使い方は、野菜を植える1か月前に、畑に堆肥を入れて耕します。注意するのは、土に混ぜてすぐに野菜を植えないことです。
畑に堆肥を入れると、畑で堆肥の発酵が再開します。その期間はガスが出るので野菜に害が出ます。また、少し時間を置くことで、畑に有用な微生物が増えていきます。
ですので、その期間を待ってから野菜を植え付けましょう。堆肥を毎年いれていくと、土がフカフカになっていくのがよくわかると思います。これで一段と野菜が美味しくなります。
プロの有機農家はそれぞれ独自の「土づくり」の方法をもっています。共通しているのは、山や林の中の土のような環境を畑に再現していることです。